なかしごと【仲仕事】
【類義語】 製麹 【対義語】

 麹造りの全工程の5番目の作業。麹室(こうじむろ)と呼ばれる麹造りの作業室で行う。盛りを行ってから、約7〜9時間経つと米の温度が34〜36℃になるので、麹蓋(こうじぶた)という木箱に入れた米を撹拌し、温度を1〜1.5℃下げる事。米に含まれる水分の蒸発を促す事を目的とする。
 ちなみに麹造りの全工程は、引き込み→床もみ→切り返し→盛り→仲仕事→仕舞仕事→出麹となる。

【仲添え】なかぞえ
【類義語】 もろみ 段仕込み 【対義語】

 もろみを仕込む方法(3段仕込み)の第ニ段階。初添え後、1日経過してから、仕込みタンクの中に麹・水・蒸米を入れる事。こうやって、酵母の活性化を促し、増殖させていく。

【夏子の酒】なつこのさけ
【類義語】 美味しんぼ 【対義語】

 漫画家・尾瀬あきらさんの作品で、1988年から1991年まで連載された。広告会社から実家の酒蔵に転職した佐伯夏子の奮闘記。舞台は新潟の架空の蔵元だが、モデルは作付けされなくなった品種・亀の尾を種籾から復活させた久須美酒造と当時の専務さん。非常によく取材されていて、一般消費者だけでなく若手酒屋にも多大な影響を与えた。
 食を題材にした同じ漫画の美味しんぼが、日本酒を題材にする時は徹底的に純米酒以外を認めない姿勢だったのに対し、この作品では本醸造酒、吟醸酒などのアルコール添加酒にもちゃんとその意味があるんだ!という事を説いた、画期的な作品。特に1巻には日本酒業界が抱える問題点とアルコール添加について書かれてあるので必見。また和久井映見主演でドラマ化もされた。

【生酒】なまざけ
【類義語】 原酒 生貯蔵酒 【対義語】 火入れ

 加熱殺菌処理(火入れ)をしないお酒。滑らかな口当りで非常に飲みやすく、よく冷やして美味い。ただし非常に品質変化しやすいので、管理は必ず冷蔵庫で行って欲しい。もともとは、どうしてもビールに押されてしまう夏場の日本酒需要を活気付かせる為に広まった、日本酒版冷やし中華。(笑)
 尚、ろ過された後も日本酒には微粒の酵母が生きているので、生酒を長期保存すると、とろっとして甘味をより感じるようになる事が多い。

【生貯蔵酒】なまちょぞうしゅ
【類義語】 生酒 【対義語】

 ろ過後にすぐビン詰めを行う生酒に対し、生貯蔵酒はろ過後ビン詰めするまでに、加熱殺菌処理(火入れ)、貯蔵、を行ったもの。加熱殺菌を貯蔵の先にするか後にするかは蔵元によって違うが、一般的には、ろ過→貯蔵→加熱殺菌→ビン詰め、が主流。
 生酒よりは多少品質管理が容易で、価格も生酒に比べ安い場合が多い。

【軟水】なんすい
【類義語】 【対義語】 硬水

 ミネラル分が少ない水を軟水という。酒の成分の80%以上は水、だから水の成分値は酒の味に大きな影響を与える。ちなみに新潟県の仕込み水はこの軟水がほとんど。
 軟水仕込みで辛口酒質を造るのは大変難しく、それだけ新潟の各蔵元さんは優れた技術力を持っているという事になる。

【濁り酒】にごりざけ
【類義語】 原酒 生酒 【対義語】

 白い醪(もろみ)成分が入っている酒で、一般的な水分だけで無色透明に近い日本酒と比較するとにごっているのでこの名が付いた。普通は甘口のものが多い。厳密に言うと違うが「どぶろく」という言い方をされる事もある。
 もろみの入れ方は、@ろ過の際にフィルターの目を粗くする、A手作業、の2通りある。主に冬場の限定品として市販され、どっぷりはまっているファンも多い。新潟では、新発田の菊水酒造・五郎八(ごろはち)があまりにも有名。

【日本酒度】にほんしゅど
【類義語】 酸度 アミノ酸度 【対義語】

 日本酒の味を数字的に表す尺度のひとつで、酒の辛さを示す。0を境に数時がプラスになるほど辛く、逆にマイナスになるほど甘い。測定方法は酒の比重を基に測定するが、面倒くさいので覚える必要無し。(笑)
 新潟の酒は辛口が多いのは皆さんご存知の通りだが、ちなみに人気の久保田千寿の日本酒度は+6。凄いものになると佐渡の北雪の+19なんてのもある。(その名もズバリ「鬼殺し」)

【糠】ぬか
【類義語】 【対義語】

 米には外側ほど酒造りに不要な成分(食べる時には旨み成分)が多く、酒造りはコレを削り落とす精米という作業からスタートするが、この時削り落とされた粉の事。精米の度合いによって、一番糠、二番糠などという。
 糠は酒造りには使えないが、不要な成分といっても毒じゃないので、漬物用(ぬか漬けのもとですネ)や米菓用に回される。ただし、最近は液化仕込みの安酒用の原料として、某地域の大手メーカーが買い集めているらしい。

【根雪】ねゆき
【類義語】 雪中貯蔵 【対義語】

 冬に積もった雪が溶けずに残った状態。この根雪を集め雪の蔵を作り、中に瓶詰めしたお酒を入れて初夏まで待つと、酒質がまろやかに熟成する。これを雪中貯蔵と呼び、雪国ならではのお酒の熟成法。

【呑み切り】のみきり
【類義語】 呑み口 【対義語】

 6〜8月頃酒蔵で行われる伝統行事。冬に仕込んだお酒は加熱殺菌(火入れ)をした後、新酒以外は貯蔵タンクで貯蔵されるが、火落ちと呼ばれる品質劣化が発生しているかどうか確認する為、タンクの下にある呑み口と呼ばれる栓を開け、実際に利き酒してお酒の熟度を調べる事。
 特にその年初めて行われる初呑み切りは蔵にとって大切な行事で、国税局の方をはじめ、蔵にとって大切な取引先(酒屋・問屋)を招待して、おごそかに行われる。

【呑み口】のみくち
【類義語】 呑み切り 上呑み 下呑み 【対義語】

 貯蔵タンクの下部にある、お酒を取り出す為の栓みたいなもの。初夏にはこの部分を開けて、酒蔵の大切な行事である呑み切りを行う。