【松乃井】まつのい
【類義語】 【対義語】

 魚沼コシヒカリで知られる川西町にある小さな蔵元。コシのあるしっかりとした酒造りが特徴で、地元のお客に愛される蔵でありたい…、の理念で酒造りを続けている。そのため、東京の百貨店から扱いたい旨の申し出は結構あるらしいが、以前蔵にお邪魔した時、「いやあ、ウチは地元のお客様第一ですから断ってます」と明るく笑っていた若専務さんの笑顔が忘れられない。
 蛇足ながら、私にとってここの純米酒は、ある事で落ち込んでいた時に勇気付けてくれ、松乃井を扱うきっかけになった、とても思い入れ深いお酒。

【幻の酒】まぼろしのさけ
【類義語】 有名銘柄 【対義語】 無名の酒

 人気があり、且なかなか手に入らない地酒は、日本酒の世界では時々「幻の酒」と呼ばれる。新潟では、久保田、越乃寒梅、〆張鶴、雪中梅、八海山(50音順)などがそれにあたる。幻になる理由は、@人気の割に蔵元の生産量が少ない、A販売店が限定されている、などが挙げられる。
 また、不正流通によって流れたこれらがDSやスーパーで定価の3〜5倍以上の値段で売られ、それを見た消費者が「幻だからこんなに高いんだ」などと勘違いさせられ、必要以上にお酒の価値を歪めてしまう。

【密閉式タンク】みっぺいしきたんく
【類義語】 天領盃 【対義語】 開放式タンク

 通常の仕込みタンクは上の部分が開いている(ドラム缶のでかいものと思って下さい…笑)開放式だが、密閉式タンクは上の部分がしまっていて(缶ビールのような状態だと思って下さい…笑)、醗酵時に発生した香りが酒の中に溶け込むため、このタンクで仕込まれた酒は基本的に香りが高い。
 新潟では佐渡の天領盃のほかは上善如水(じょうぜんみずのごとし)で全国的にも知られる白瀧酒造などが使用している。

【宮水】みやみず
【類義語】 硬水 【対義語】 軟水

 兵庫県西宮市近辺から出るミネラルを豊富に含む硬水の涌き水の総称。西宮の水、略して宮水、なんて分かりやすい…。(笑)この水は非常に酒造りに適し、灘が酒作りのメッカとなったのもこの水のおかげ。
 考えてみたら、酒米の最高峰・山田錦といい、この宮水といい、灘はホントに恵まれている。なんでこんな良い所で大量生産日本酒風飲料(笑)の一大メーカーがあるのか、全くもって不思議である。(いかん、また怒られる…笑)

【蒸し米】むしまい
【類義語】 ひねりもち 【対義語】

 精米、洗米、浸漬の終わった米は、甑(こしき)または機械によって蒸される。その目的は、麹菌が働きやすい様に、米のデンプン質をα化する事にある。良い蒸し米は、外が硬く中が柔らかい外硬内軟の状態。この硬さ具合は、麹菌、醗酵時の溶け具合に密接に関わってくるので、とっても重要。
 蒸しあがった米は状態を確認するために、一部を蔵人がひねって餅状(ひねりもち)にする事もある。

【無名の酒】むめいのさけ
【類義語】 【対義語】 有名銘柄 幻の酒

 人気、知名度、共に無くても、蔵元さんがお客様の為に一生懸命造ったお酒はたくさんある。(新潟に限らずネ)違うのは人気が出る前か後かという事だけ、人気銘柄にこだわるのも良いけれど、それらだって今の人気になる前は無名銘柄だったという事を忘れないで欲しいなあ…。

【無ろ過】むろか
【類義語】 【対義語】 ろ過

 普通日本酒は、醪(もろみ)を搾った後、一緒に搾られてしまった雑味成分をろ過するが、この作業をしない事、またはそのお酒。ここ1〜2年、特に東北方面の地酒に無ろ過の地酒が増え、全国的に広がった。
 搾りたての自然の味を求めている人には特に受けているが、品質劣化しやすいのでキチンとした管理の酒屋で買う事が必要。また、同じ理由で開封後はなるべく早く飲み切っちゃて欲しい。(美味いけどネ…笑)

【飯蓋】めしぶた
【類義語】 【対義語】

 醗酵が進んだ醪(もろみ)は泡が発生する。その泡が一段落し消えた状態を地というが、この時に溶けかかった米の粒が厚く浮かんで蓋のようになった状態を言う。(見たまんまです…笑)別名、厚蓋。
 この状態は、米の消化の程度や酵母の性能によって違ってくるので、こうなったから良い、悪い、というものではない。

【もと】もと(漢字変換できないので許して下さい)
【類義語】 酒母 【対義語】

 昔から酒造りの世界では、一、麹、二、もと、三、造り、といわれるくらい重要なもので、もとの出来の良し悪しが酒の味を決定付けると言っても過言では無い。(麹の説明と同じじゃないか!とお気付きのあなた…、スルドイ!)別名酒母(しゅぼ)。詳しい説明は酒母へどうぞ。

【もと摺り唄】もとすりうた
【類義語】 【対義語】

 酒母(もと)を仕込む際、酒母タンクの中を楷(かい)と呼ばれる棒で撹拌する時に唄われる酒造り唄。独特の唄い回しで、一度耳にした事がある人も多いはず。
 唄は一番から五番まであり、これをどこまで唄うかで時計代わりに時間を計る。各蔵元で歌詞や調子が微妙に違うので、聞き比べてみると面白いかも。ちなみに、私は朝日酒造バージョンだったら、完璧に唄いこなせます。(エッヘン!)

【盛り】もり
【類義語】 製麹 【対義語】

 麹造りの全工程の4番目の作業。麹室(こうじむろ)と呼ばれる麹造りの作業室で行う。切り返し後、約12時間経つと米に麹菌が繁殖し白い斑点が現れる。このままだと温度が高くなり過ぎ、麹菌の増殖が止まってしまうので、温度管理しやすいよう米を揉みほぐし、少量ずつをいくつもの麹蓋(こうじぶた)という木の箱に入れ、麹室の片隅に積み上げる。
 ちなみに麹造りの全工程は、引き込み→床もみ→切り返し→盛り→仲仕事→仕舞仕事→出麹となる。

【醪】もろみ
【類義語】 段仕込み  【対義語】

 仕込みタンクに酒母・蒸し米・麹・水を加え、醗酵できる状態にしたもの。または、搾るまで醗酵を続けている状態のドロドロしたもの。(変な言い方でスミマセン…笑)
 醪は1回前述のものをタンクに入れればお終い、というわけではなく、その後蒸し米+麹+水のセットをあと2回加える。(三段仕込み)一気に大量に仕込むと高品質のお酒が出来ないので、こうやって徐々に醗酵と量を増やしていくわけだが、これがお客様への日本酒の造り方の説明を分かりにくくしている。(泣)
 醪完成までの日数は、本醸造や純米酒で20〜25日(仕込み温度・7〜15℃)、吟醸や大吟醸で30〜35日(仕込み温度6〜10℃)もかかる。