【パック酒】ぱっくしゅ
【類義語】 三増酒 【対義語】 特定名称酒

 紙パックに入っているお酒。中身は圧倒的に三増酒が多く、最近は合成酒のものも増えてきた。本来は地酒メーカーの良心的なお酒に押されて窮地に立たされた大手メーカーが、自社の酒のシェアを守る為に大量生産で安く作る為に考え出された。
 とにかく安い(2Lで800円台…DS・スーパー価格)、かさばらない、空になると簡単に捨てられるなどの利点がある反面、とにかくまずい、二日酔いに最適で(笑)、雰囲気も何もあったもんじゃない、という弊害を持つ。日本酒の価値を地の底までに叩き落した極悪人。パック酒で美味い酒って聞いたことないなあ…。

【初添え】はつぞえ
【類義語】 醪(もろみ) 段仕込み 【対義語】

 もろみを仕込む方法(3段仕込み)の第一段階。仕込みタンクの中に酒母・麹・水・蒸米を入れる事。こうやって、酵母の活性化を促し、増殖させていく。

【原酒造】はらしゅぞう
【類義語】 銀の翼 【対義語】

 当店が位置する柏崎の蔵元。県内では大きな蔵元の部類に入り、特に柏崎では絶大な人気を誇る。チョット昔になるが、日中友好条約締結時に、当時の首相・田中角栄氏がこの蔵元の純米大吟醸7年古酒「もろはく」を晩餐会用のお酒に直々に指名、日中友好の掛け橋のお手伝いが出来た事はこの蔵の誇りでもある。
 近年は、地域限定発売酒「銀の翼」を生み出し、有名銘柄に押されていた現状の打破を計っている。

【火入れ】ひいれ
【類義語】 【対義語】 生酒

 生酒以外は60〜65℃で行われる加熱殺菌処理のこと。乳酸菌の増殖を止める、品質劣化を防ぐ為に酵素を破壊する、などの目的がある。

【引き込み】ひきこみ
【類義語】 製麹 【対義語】

 麹造りの最初の作業。麹室(こうじむろ)と呼ばれる麹造りの作業室で行う。蒸し上がった米を一度34〜36℃に冷まし、その後、麹室にある床(とこ)という作業台に積み上げ布をかける。
 ちなみに麹造りの全工程は、引き込み→床もみ→切り返し→盛り→仲仕事→仕舞仕事→出麹となる。

【老ね】ひね
【類義語】 【対義語】

 お酒は本来品質劣化しやすいもの、劣化状態を表す時にこの言葉を使う。老ねたお酒の感じ方は人それぞれだが、独特の嫌な香り&苦味がする。
 もともと蔵人や酒屋が使う言葉だったが、最近は日本酒に詳しい一般の人もよく使うようになった。ただし、乱用すると、飲食店の方が嫌ーな顔をするのでご注意を。(笑)

【ひねりもち】ひねりもち
【類義語】 蒸し米 【対義語】

 原料米を蒸した後、その状態を確認するために、蔵人が米をひねって餅状にしたもの。ひょうたんの薄っぺらな形をしている。このひねりもち、昔は焼いたり揚げたりして蔵人のおやつになったり、蔵でのお土産物として近隣の家に配られたりしたらしい。
 ちなみに朝日酒造の子会社で実際に商品として販売している。酒の肴やお茶請けに結構美味い。(笑)酒米で作ったおせんべいみたいなもの。

【冷や】ひや
【類義語】 【対義語】

 温める燗に対する反対語ではあるが、本来は常温(温めない)という意味で、冷たいお酒(冷酒)ではない。だって昔は冷蔵庫なんて無かったでしょ?(笑)

【冷や卸し】ひやおろし
【類義語】 【対義語】 新酒

 春に出来た酒を火入(加熱殺菌)して貯蔵タンクに寝かせ、一夏を越え、秋口にできる熟成してコクのあるお酒。新酒はそのフレッシュさから結構ファンが多いが、この冷やおろしのファンも通を中心に負けず劣らず多い。
 同じ酒でも新酒と冷やおろしの酒質の違いは歴然で、日本酒って奥がホント深い。

【普通酒】ふつうしゅ
【類義語】 パック酒 三増酒 【対義語】 特定名称酒

 別名レギュラー酒。日本で最も消費されている酒で、価格も700円代の紙パック酒から1750円のものまで幅広い。主に晩酌用に使われ、普通どんな温度でも美味しく飲める。新潟の蔵元では普通酒ながら精米歩合60%のものも多く(立派に特別本醸造です、ハイ…)、紙パック酒の普通酒と一緒にすると怒られる。こんなに丁寧な造りのものから、コスト削減の為の液化仕込みによる安酒まで色々あり、日本酒を見る上で一番訳がわからんカテゴリーかもしれない。
 最近ではチェーンの居酒屋で燗酒を頼むと、普通は液化仕込みによる安酒が出てくるので、初めて日本酒を飲んだ人は一発で日本酒嫌いになってしまうので注意が必要。ちなみに、DSやスーパーでよく見かける越乃寒梅の普通酒(定価は2000円ほど)が一時10000円以上もしていたのは、
いくら不正流通品とはいえ、恐ろしい事としか言いようがない。

【フルーティー】ふるーてぃー
【類義語】 地酒ブーム 【対義語】

 どんなお酒でもひとまとめに表現出来てしまう魔法の言葉。地酒ブームの時、吟醸酒を紹介した番組で芸能人が連発し、一般の人だけでなく酒屋にまで広まった。(笑)
 日本酒が昔よくあった酒臭いものではなく、まるで果実の様に美味しいもの、というイメージにしてくれた功績は確かに大きいが、その後何でもかんでもこの言葉で表現されてしまうお酒が続出、ある意味やっかいな言葉になってしまった。(笑)

【並行複醗酵】へいこうふくはっこう
【類義語】 アルコール醗酵 【対義語】 単醗酵

 ワイン、ビール、日本酒…、これらは全て醸造酒。でも造り方はみんな違い、ワインは単醗酵、ビールは単行複醗酵、そして日本酒は並行複醗酵で造られる。
 本来、アルコールは原料に含まれる糖分を酵母が分解した時に出来るが、日本酒の原料である米には必要量の糖分がないため、このままでは酵母が分解できない。このため一度、米に含まれるタンパク質を酵母が利用可能なブドウ糖に変える必要がある。この役割をしてくれるのが麹菌(たくさん必要です)で、それを増殖させるのが麹造り、実際に醗酵を行う酵母(これもたくさん必要)を増殖させるのが酒母造り(“もと”とも言います)、そしてこれらの2つで原料の米をブドウ糖に変えながら同時に(並行して)醗酵させるのが段仕込というわけ。(分かりました?)
 造り方自体は簡単なワインに対し、日本酒は世界的に見ても類を見ない難しい造り方をするお酒なんです。(何のこっちゃ?と言う方、一度じっくり話し合いましょう…笑)

【紅麹】べにこうじ
【類義語】 あかい酒 【対義語】

 紅色の色素を生産する菌を蒸米に増殖させたもの。普通の麹米と違い、この紅麹で仕込むとアラ不思議、ボージョレ・ヌーヴォーのようなライトカラーの赤い日本酒が出来る。

【本醸造】ほんじょうぞう
【類義語】 特別本醸造 【対義語】 普通酒 三増酒

冷やからお燗まで、温度対応に万能なのが本醸造。価格は1800〜1900円台のものが中心。晩酌酒(ちょっと高いけど)、選挙のお酒、上棟祝、盆暮れの使い物など用途は広い。酒税法上では、精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール、水を原料とした清酒で、香味及び色沢が良好なもの、とされる特定名称酒。